【特定技能】ミャンマー人を採用するステップ・注意点を解説

【特定技能】ミャンマー人を採用するステップ・注意点を解説

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特定技能制度でミャンマー人の採用を検討されている方のため、本記事ではミャンマー人の特徴や、ミャンマー人の採用ルート、採用時の注意点や費用などについて解説します。

「ラストフロンティア」と呼ばれるミャンマー

「ラストフロンティア」と呼ばれるミャンマー

ミャンマーは、日本の1.8倍広い国土を保有し、5000万人もの人口を抱えています。ですがまだ賃金は低く、ミャンマー人の平均月収は1万円から2万円です。
そのため日本での就労は、大変高給の取れる仕事と認識されています。

ですがインフラや、軍事政権の問題、ロヒンギャ問題など、深刻な問題を数多く抱えています。しかし問題は多いですが少しずつ良くなってはいます。

日本とミャンマーは、特定技能外国人を、スムーズに送り出すための2国間協定を交わしており、ミャンマーも日本への送り出しに積極的な姿勢を見せています。

特定技能で働くミャンマー人の割合

出入国在留管理庁の資料によると、令和4年12月末時点で、特定技能を取得して日本で働く外国人は、全体で130,915人です。ベトナムが77,135人で最も多く、ミャンマー人は5,956人で全体の4.5%ほど、国籍別では5番目の人数です。
5番目と言っても、ベトナムなどと比べると少なく見えるかもしれませんが、ミャンマーの特定技能外国人の数は年々増加しています。

ミャンマー人の特徴

ミャンマー人の特徴

温和で親切

ミャンマー人の多くが仏教徒で「人に親切にすることは当たり前」という価値観を持っています。また性格が温和な方が多いです。穏やかな人たちであると言えます。

素直

ミャンマーには仏教が根付いている影響で年上を敬う方が多いです。
そのため目上の方からの指示は素直に聞き滞りなく実行してくれます。
協調性も高いため、チームプレイでも活躍してくれます。

楽観的

あまり物事をネガティブに考えません。
多くの方が前向きな考え方をされ、日本に不安を感じながら来る方も当然いますが、新しい仕事にワクワクを感じながら来日される方のほうが多い印象です。

日本人と感覚が近い

日本もミャンマーも、同じく仏教の影響が強い国なため、考え方などで、日本人と似ている部分が多いです。そのため日本人との相性はよく、お互いに働きやすさを感じるでしょう。

ミャンマー人採用のメリット

ミャンマー人採用のメリット

日本語上達のスピードが速い

文法が日本と同じSOV型です。
そのためミャンマー人にとっては、自国の文法に日本の単語を当てはめるようなイメージとなります。

また発音に関しては日本語が50音、ミャンマー語は280音です。
日本人が英語を学ぶときのように、新しい音を覚える必要がありません。

日本語学習の支援を行うことで、上級クラスの日本語検定試験の合格を目指すことができるでしょう。

嫌なことを苦にしない

日本での月給はミャンマーの10倍以上になることもあり、少々のことでは嫌なことだとは思いません。またミャンマー人の国民性は素直で楽観的なため、嫌な仕事と思われる作業も、苦にせずコツコツすすめてくれます。

勤労意欲が高い

ミャンマー人は勤勉で、勤労意欲が高いと評価されています。勤労意欲が高い理由は「統一試験」があるためだと言われています。
ミャンマーでは高校卒業の際に「統一試験」を受けます。これは合格率は3割程度という難しい試験ですが、パスすると、将来の進路や稼ぎが変わってくるため、勉強に熱を入れる若者が多い傾向です。その経験が、若者の勤労意欲の高さにつながる勤勉さを育んでいるようです。

ミャンマー人採用のデメリット

ミャンマー人採用のデメリット

考えを口にしないことが多め

ミャンマー人には、日本と同じく年上を敬う文化があります。そのため年長者から指示を受けた場合に、納得がいかない指示だったとしても、その旨を口にせずため込んでしまう傾向にあります。
それに気づかず指導を続けてしまうと、最悪退職につながってしまう場合もありますので、注意が必要です。

保守的な考え方をしがち

また保守的な考え方に、陥りがちな方が多いようです。
多くのミャンマー人が開拓者タイプではなく、ひとつひとつの仕事をコツコツこなす労働者タイプなためです。
もちろん開拓者タイプのミャンマー人もいますが、仕事内容によっては、ミャンマー人の勤勉さをうまく活かせない可能性がありますので注意しましょう。

特定技能制度でのミャンマー人採用のルート

特定技能制度でのミャンマー人採用のルート

特定技能制度で、ミャンマー人を採用するルートを説明します。
大きく分けて①ミャンマーからの来日ルート②すでに日本にいるミャンマー人採用ルートの2つがあります。

出入国在留管理庁のページに、ミャンマーから採用する場合の流れを図解したフローチャートがありますので、そちらもご参照下さい。

ミャンマーからの来日ルート

ミャンマーからの来日ルートを説明します。

1 求人票の提出

ミャンマー現地から、特定技能外国人を採用する場合には、ミャンマー政府が認定した送出し機関を通さないといけません。

そのためまず、ミャンマー政府の認定を受けた送出し機関の中から、契約する機関を選定します。ミャンマー政府の認定を受けた送り出し機関が、こちらのページに一覧となって掲載されていますので、ご参照ください。

契約の締結後、受け入れ機関がミャンマー国内の認定送り出し機関に求人票を提出します。(この求人票は「デマンドレター」とも呼ばれます)
この求人票で、広く人を募集をするためには、まずミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)の「許可」と「承認」が必要なため、そのための審査を受けます。

2 募集・面接

MOLIPに承認されると、送出し機関が、特定技能の試験をパスした求職者の募集を始めます。候補者が一定数集まったら面接を実施します。
面接は、ミャンマー現地でも、オンラインでも可能です。

3 雇用契約の締結

その後、業務内容や賃金、就業場所など労働条件のすり合わせを行ったあと、雇用契約を締結します。
雇用契約書には母国語、または英語を併記しておくと、入社後のトラブルを防ぐことができます。

4 在留資格認定証明書交付申請

雇用契約締結後、受け入れ企業側で、日本の地方入出国在留管理局に「在留資格認定証明書」の交付申請をします。
基本的には、受入機関の職員が、管轄の出入国在留管理局に足を運び申請します。
行政書士などに申請取次を依頼することも可能です。

「在留資格認定証明書」とは、簡単に言えば、入国の条件を満たしているかどうかを証明する書類です。

5 スマートカード(海外労働許可証:OWIC)申請

「在留資格認定証明書」が交付されたら、スマートカードの申請のため、証明書原本を特定技能のミャンマー人に送ります。
スマートカード(OWC)はミャンマー人本人が、MOLIPに申請します。

ミャンマー独自のルールなので、スマートカードについて簡単に説明します。
スマートカードは、海外労働身分証明カード(OWIC)とも呼ばれ、ミャンマー人の海外労働の際には必ず必要となります。

在留資格認定証明書の有効期限は3ヶ月です。
つまり3ヶ月以内に来日しなくてはなりませんが、スマートカードの発行には4か月〜5か月ほどかかるので、在留資格認定証明書が発行されるまえに、スマートカード発行手続きは行っておく必要があります。

6 査証申請

スマートカードの発行後、日本に入国するミャンマー人自身が、スマートカードを持って、在ミャンマー日本国大使館で査証発給申請(ビザの申請)を行います。

7 日本に入国

スマートカードの発行が終わり、査証申請が通れば、来日できます。
その後、日本での上陸審査を経て、到着した空港で在留カードが発行され、特定技能として作業に従事できるようになります。

すでに日本にいるミャンマー人採用ルート

続いて、すでに日本にいるミャンマー人採用ルートを確認します。
こちらの方が手続きは簡単になります。

1 雇用契約の締結

すでに日本にいるミャンマー人を採用する場合には、送り出し機関の経由なしで採用活動ができます。
そのため求人や採用活動を通して、まず特定技能の合格者の中から内定者を決め、内定者のミャンマー人と雇用契約を締結すれば大丈夫です。

2 パスポートの更新申請

雇用契約締結後、在日本ミャンマー大使館で、パスポートの更新申請を行います。

3 在留資格変更許可申請

地方入出国在留管理局に、在留資格変更許可申請を行い、現在の在留資格から「特定技能」へと変更します。

日本にすでにいるミャンマー人採用のルートは以上です。
こちらのほうが手続きは簡単で、流れもスムーズだと思います。
このルートの活用事例として、技能実習生や日本留学している留学生に、資格取得支援を行い特定技能の国内試験を受けてもらう、という方法があります。
留学しているため、語学力の心配が少ないですし、技能実習生が特定技能へ移行すれば、今の作業をより長期で行ってもらうことができます。

特定技能制度でミャンマー人を採用する場合の注意点

特定技能制度でミャンマー人を採用する場合の注意点

ミャンマーには、独自のルールが多数存在していますので、この章で改めて解説します。

送り出し機関を通じた手続きが必要

ミャンマーの場合には、ミャンマー政府認定の送り出し機関を通じて、人材紹介や雇用契約の締結をしなければなりません。

ミャンマーの送り出し機関は320社ありますが、すべての機関が特定技能制度で認められているわけではなく、そのうちの100社ほどです。
ミャンマー政府認定の送り出し機関については、こちらの入国在留管理庁のページをご参照ください。

ただあくまでミャンマー在住のミャンマー人の場合で、すでに日本にいるミャンマー人を採用する場合は、ミャンマー政府認定の送り出し機関を経由しないで大丈夫です。

海外労働者身分証明カード(OWIC)が必須

海外労働者身分証明カード(OWIC)を、採用予定のミャンマー人が申請しなくてはなりません。
これは簡単に言えば、海外で働くミャンマー人が所有するIDカードです。
企業側が申請をするわけではないですが、必ず必要となりますので一応の認識が必要です。

採用の費用

ミャンマー人を採用する場合の費用について解説します。

ミャンマーから来日の場合

渡航費:3~8万円

※航空券代金の負担は義務ではありません。

住居の手配

※受け入れ企業側で手配した場合、敷金など初期費用がかかります。

事前ガイダンス

1人1~2万円

生活オリエンテーション

1人1.5~3万円

ビザ申請費用

1人8~20万円
※特定技能1号ビザ申請費用

支援委託費用

毎月1人1.5~3.5万円
※登録支援機関に依頼した場合

ビザ更新費用

1人4~8万円
※年に1度ビザ更新書類作成を外注した場合

日本在住者を採用する場合

住居の手配

※受け入れ企業側で手配した場合、敷金など初期費用がかかります。

事前ガイダンス

1人1~2万円

生活オリエンテーション

1人1.5~3万円

ビザ申請費用

1人8~20万円
※特定技能1号ビザ申請費用

支援委託費用

毎月1人1.5~3.5万円
※登録支援機関に依頼した場合

ビザ更新費用

1人4~8万円
※年に1度ビザ更新書類作成を外注した場合

まとめ

今回は特定技能制度でミャンマー人を採用する場合について、説明させていただきました。最後に今回の内容をまとめさせていただきます。

  • ミャンマーは平均月収が1~2万円であるため、日本での就労は高給の仕事として人気がある
  • 特定技能を取得して働くミャンマー人は、令和4年12月末時点で5,956人、全体の4.5%ほど
  • ミャンマーは仏教の影響が強い国であるため、ミャンマー人は日本人と国民性が近く、温和で親切。
  • 文法が日本と同じSOV型であるため日本語上達のスピードが速い
  • 一方で、保守的な考え方をする方が多かったり、不満などをため込んでしまったりする人も多い
  • ミャンマー現地からの採用の場合、ミャンマー政府認定の送り出し機関を通す必要がある
  • スマートカードの申請が必須となるため注意が必要

以上になります。
特定技能でミャンマー人を採用する一助になれば幸いです。

この記事を書いたライター
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カナエル運営事務局

外国人材に関わる方向けに情報を発信する総合メディア「カナエル」の中の人です。 外国人採用をはじめ、特定技能・技能実習に関する有益な情報を発信します。